神田川俊郎弁当の思い出

ずっと昔、とあるコンビニが「神田川俊郎先生監修」の弁当を売り出した。
たしか千円以上する超豪華な弁当だったと思う。
当時、コンビニのバイトをしていた私は売れ残った弁当を食べさせてもらった。
メチャメチャ旨かった。

問題が起きたのはそれから二週間くらい経った頃だ。

中年のサラリーマンが血相を変えて怒鳴り込んできたのだ。
「こんな不味い弁当を高い金で売りつけやがって!」
とその男性は怒り心頭だった。

クレームをつけられたのはほかのバイトの子だったので、私は他人事で「ふうん。あれをマズイと思う客もいるんだな」程度にしか思わなかった。

神田川俊郎先生監修の弁当は売れなくなり、かなり在庫が残るようになった。
そこでまた私の出番である。

いそいそと弁当の蓋を開けて、食べてみると・・・不味い!

クソみたいに不味い。
弁当は幕の内形式で、おかずは十種類をくだらなかった。
そのすべてが不味かった。

つまりはこういうことだったのだろう。
(ここから先は私の妄想である)

私がバイトをしていたコンビニチェーンの開発部は、はなから神田川先生のレシピ通りに作る気がなかった。

発売からしばらく経ったら、故意に原材料の質を落として、粗利を稼ごうとしたに違いない。

そうとでも考えなければ、おかずの全てがクソ不味くなるなどということはあり得ない。

当時、神田川先生の耳にはこの事が入っていただろうか。

おそらくご存じなかったのではないか。
もしこんなことが知れてしまったら、訴訟問題に発展していただろうから。

それにしても有名両人の顔に泥を塗ってまで、小金を稼ぎたいものなのか。
なんとも浅ましいことだ。
って売れ残り弁当を食っている私が言える立場じゃないけれど。

神田川俊郎氏のご冥福をお祈り申し上げます。